美僕アタック!~美少年の僕に全寮制男子校のみんな、さっさとアタックしてきてよね!~第3話(2015年4月お題SS)★お色気注意★

BL♂UNION

お題SSの形で進んでいく牛若の長期連載シリーズ『美僕アタック!~美少年の僕に全寮制男子校のみんな、さっさとアタックしてきてよね!』の第3話です。
4月のお題の最終話になります。




牛野若丸主催幹事発案の2015年4月お題SS。
お題は「桜」「服」「嘘」。
4000字。




著作権表示:
Copyright (C) 2015 牛野若丸. All Rights Reserved.
2015年11月7日公開。




静川奏人(しずかわかなと):一年生。BLが好き。
一条勝樹(いちじょうかつき):一年生。奏人と小学校が一緒。奏人と寮の部屋が同室。
花宮上総(はなみやかずさ):三年生。生徒会長。三階寮長。




 いよいよ今日は入学式。
 昨晩も今朝も勝樹と食堂で一緒に食べるはめになっちゃったけど、僕がにっこりと相づちを打っていればそれほどウザくないことに気付いたよ。勝樹って人が良さそうだから無害ではあるし、適当に付き合っておけばいいかもね。機嫌をとっておけば、僕の高校生活に役立ってくれるかも知れないし。やけに馴れ馴れしい勝樹は、僕を小学校時代の別の同級生と勘違いしているおそれがあるな、ってやっぱり思うけどね。昨日はとんかつ定食、今朝はホットケーキだったけど、とてもおいしかったよ。
「奏人、行こうか~」
「うん」
 真新しい学ランに着替えた僕と勝樹は、カバンを肩にかけて隣の校舎に向かう。学校の教室や体育館は寮とは別の建物でちょっと離れているんだけど、緑のマットの通路があって屋根も付いているから、まるで家みたいな感覚で寮と学校を気軽に行き来できるんだ。
 今日も桜吹雪が僕を祝福してくれているみたい。
「ははは、また花びらが付いてるぞ」
 せっかく僕の栗色の髪を桜の結晶が輝かせてくれようとしているのに、勝樹は空気を読まずにそっと払い落としてしまう。
「もう、いちいち取らないでよっ」
 美少年の制服に付いたゴミを取ってあげる、そんなささいなことからドラマは始まるんだよ。相手は花宮会長かも知れないし、どこかの運動部の部長かも知れないし、理知的な眼鏡をかけた保健の男性教諭かも知れないし。ほんと、邪魔をしないでほしいな。
 そう言いたいのをこらえて勝樹をきっとにらむと、相手はますます面白そうに微笑んでくる。
「そんなに照れなくてもいいだろ」
 もう、勝手に僕をツンデレ扱いして。僕は心の底からいやがっているのにね。
「小学校の時からの付き合いなんだからな~」
「わっ」
 どんと肩に手を置かれてとび上がる。
「僕、勝樹のことほとんど覚えてないしっ」
「――そうか……」
 そこで寂しそうにつぶやかれると、僕もちょっと困ってしまうよ。
 それから僕たちは校舎の前にたどり着いた。入口に大きな掲示板が設置してあって、新入生のクラス分けが貼られている……みたいなんだけど。
「見えないじゃん……」
 わいわい、がやがや。昨日寮で互いを知り合ったばかりの新入生たちがクラス分けを見て談笑している。僕よりずっと背が高い人間ばかりだから、小柄な僕には全然掲示物が見えないんだ。
「わわわわわっ、あんっ……!」
 いきなりしゃがんだ勝樹が僕の股間に後ろから頭を挿入してきて、思わずお色気ボイスを漏らしてしまう。こんなギャラリーの前でなんて卑猥なことをするんだろう! 美少年の生殖器に興味があるのは分かるけど、クラス分けの掲示物の前で股間に頭を突っ込むプレイなんて、どんなハードな作品の中でも読んだことがないよ! しかもモブキャラのくせに!
「は、んんっ、何するんだよっ! ……あ、そういうことか」
 見晴らしいいね。勝樹は僕の股間目当てじゃなかったみたい。僕を肩車してくれているんだ。うれしいような、ちょっとがっかりするような……
 さて、僕は何組かな? 快適な高みから自分の名前を探そうとしたら。
「おおお、俺ってツいてる! 奏人と同じ一組だ~」
「え? えええっ……!」
「イエーイ!」
「あんっ……うっ」
 うれしそうにジャンプする勝樹のせいで双球の下が突発的に疼く。何この斬新なエロシーン……!
「ひゃっ」
 そこで僕は着地させられた。
「奏人。俺は本当にうれしいよ」
 僕の頭をなでながらにっこりとストレートな気持ちをぶつけてくるけど、僕はうれしくも何ともない。面倒くさそうだなって思うだけだよ。

 入学式が始まった。僕たち一年生は体育館の最前列にいるよ。今、校長先生と花宮生徒会長によるお祝いの言葉が終わりを告げたところなんだ。
「――新入生宣誓。新入生総代、静川奏人!」
「はいっ」
 僕は精一杯可愛らしい声で返事をすると、巻物をしっかりと持って長椅子から立ち上がった。
「頑張れよ」
 隣に座っていた勝樹がささやいてくるのは、とりあえず無視しておくよ。名簿の順では一条勝樹と僕は随分離れているのに、総代の役目のせいで隣にいるのがちょっとうっとうしいなあ。
 さて、ここからが美少年の僕の見せ場だね。中学校時代まではそれなりに人見知りする方だった気がするけど、この甘之口高校ではバラ色の美少年ライフが待っているからたっぷりと勇気とやる気がわいてくるんだ。
 壇上に立つはげ頭の校長先生の正面に設置された、スタンドマイクの方を目指す。てっきり僕がステージ上に立って、新入生と上級生を「つぶらな瞳レーザー光線」でノックアウトさせる気満々だったんだけど、あいにくみんなには僕のお尻側を見せないといけないみたい。それでも僕は頑張るよ!
「先生、僕たちは――」
 巻物を開いて、柔らかい声で読み始める。さすがにちょっとどきどきするけど、緊張で声が震えれば震えるほど、僕の美声に萌えて全身を熱くしたり中芯を硬くしたりしてくれる生徒がたくさんいるんだと思うとわくわくしたよ。頑張らなくちゃね!
 高性能のマイクが美少年のエロスを余すことなく拾ってくれる。息継ぎをする時にできるだけマイクに口を近付けるように努めたよ。だって、僕が荒い息遣いをする度に、体育館中の生徒たちが下半身を熱くしてくれる可能性が高いからね。
「――ん。ふうう」
 最後に僕は、ありたっけの色気とエロスを込めて、甘い吐息をマイクに向かって吐き出したよ。
「――新入生総代、静川奏人」
 さあ、絶世の美少年による宣誓の甘~い朗読の破壊力はどうだったかな? わくわくするね!
 色っぽく自分の名前を言い終えてから巻物を収めると、くるっと回って自分の席に向かおうとしたところで――がたん、と激しい音が後列の方から聞こえた。
「……えっ」
 その光景に、愕然とした。思わず立ち止まっちゃったよ。だって、僕の本命の攻めであるはずの花宮生徒会長が、みんなの列から抜け出して――口を押さえながら脚をもつれさせるようにして後ろに走るのが見えたんだ。そのまま――後ろのトイレに入っちゃった。
 なんでっ? どうしてっ? せっかくの美少年のエロチックな宣誓朗読が会長のお気に召さなかったのっ? まさか、僕のこの声のせいで……は、吐き気を催しちゃったのっ……!?
 最高の高校デビューを華々しく飾るつもりだったのに、目の前が真っ暗になる。と、そこで朦朧としかける僕の横をばたばたと通り過ぎる影が見えた。
「え……嘘……」
 さらに愕然とした。だって、花宮会長の後を追うようにして同じように口を押さえて後ろのトイレに駆け込んでいたのは――勝樹、だったんだ。
 何だよこれっ……! 信じられないよっ……! 僕、一生懸命頑張ったのにっ……!
 叫びたくてたまらなくなって、そのうち目が潤んできちゃいそうになって……僕はそのまま走りだした。
 体育館の中がざわつく。でも教頭先生は続いて祝電披露に入ろうとしているみたい。そんな後ろの状況にはお構いなく、僕は花宮会長と勝樹のいるトイレへと向かったんだ。だって、僕が一生懸命やり遂げたはずの新入生宣誓のせいで、二人が本当にえずいちゃっているのかどうか、確かめずにはいられなかったからね。
 おそるおそる、ドアを開けてみる。想像したえずきの声は聞こえなかった。
「っ……?」
 耳を疑っちゃったよ。だって、今聞こえてきているのは……
「ハァっ、ハァっ、……!」
「んんっ、ハァっ、……っ!」
 野獣のような荒い息遣いが、トイレのエコーのせいでよく響いてくるんだ。ベルトをかちゃかちゃといじる音も聞こえてくる。そしてその音は、どう聞いても二人――つまり、花宮会長と勝樹なんだ。
 何だよこれっ……! 信じられないよっ……!
 入学式中に二人でトイレに駆け込んで、こんなアツアツのセックスを始めるなんて。男同士の垣根を超えるのもあっけなさすぎて萌えには程遠いよ、こんなの。エッチがハードすぎる作品のレビューでたまに見かける「即物的」って言葉がぴったり。
 そりゃ、僕だって素敵な花宮会長に入学早々押し倒して身も心も愛してほしい、って思っていたよ。だけど、僕があれだけ一生懸命、心とエロスを込めて新入生宣誓をしたっていうのに、それを完全無視するかのように二人でこうやって身体を繋ぎ合わせるなんて……ほんと、どれだけサカってるんだよって思っちゃうよねっ。
 っていうか、攻めはどっち? う~ん、理知的な瞳の花宮会長が押し倒されているのも萌えではあるけど、抜けたところのある勝樹の方が受けにふさわしい気がするね。ってことは、花宮×勝樹か――こんな大木カップル、僕の好みじゃないよっ。
 そもそも勝樹と花宮会長って、昨日が初対面じゃなかったの? あ、僕も会長とは昨日が初対面だったから、人のこと言えないかもね。でも、僕は絶世の美少年だもの、一目惚れされる受けにはぴったりだと思うよ! あ、そんなこと言ってる場合じゃないか。今僕が一番気になっているのは、どうして会長と勝樹がセックスをしているか、ってことだもんね。
 初対面の二人……僕ならともかく、勝樹に花宮会長が一目惚れする可能性は低いよね。っていうことは。
 うわ、なんて淫乱なんだ、勝樹! 入学早々会長を色仕掛けで誘惑するなんて! 僕の宣誓が終わるなりトイレで待ち合わせして合体しましょうとか、とんでもないことをあの上品な会長に話すなんて、ひどい破廉恥なやつだよね。
 会長はだまされてるんだ。行きずりの怪しい男にだまされて、うっかりセックスしちゃってるってことだよ。うん、花宮会長は全然悪くないよ。だって、会長はとても魅力的だからね。どうせ、あの会長が童貞のわけがないもの。それなら勝樹をたまにはつまみ食いしてもおかしくないよ。――そりゃ、僕は悲しくなっちゃうけどね。
 思考の固まった僕はトイレのドアを閉めて、自分の席へと戻り始めた。
 悪いのは勝樹だ。僕のことを忘れてない、とか調子のいいことを言っちゃって。お目当ては花宮会長だったんだ? もう許さないからね、勝樹。

(続)




こんにちは、作者の牛野若丸です。
まだまだ描きたいことはたくさんあるのですが、とりあえず4月分のお題SSはこの第3話で終了でございます(ぺこり)。
次回の5月分をお楽しみに~♪
それでは今日はこの辺で失礼しますね!

牛野若丸

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